ゼロ・ウェイストを発信しつづける町

皆さん「ゼロ・ウェイスト」という言葉を聞いたことがありますか?

「ごみをゼロにする」ことを目標に、
できるだけ廃棄物を減らそうとする環境社会政策のことで、
大量生産、大量消費の現代社会に疑問を持った人の活動により、
今、世界中に広まっています。

2020年時点で、世界では年間約21億トンものゴミが排出されており、
そのうちリサイクルされているものは3億2300万トンとまだ僅かです。
プラスチック類のゴミによる海洋汚染も
世界的に深刻な環境問題です。

これらを背景に広がり始めたゼロ・ウェイストの取り組み。
スコットランドで国を挙げて取り組んでいるのが
デポジット・リターン・スキーム」です。
これは、消費者がペットボトルやガラス瓶、
アルミ缶、スチール缶に入った飲み物を購入する際に、
20ペンス(約30円)のデポジットを払い、
空になったボトルを飲食店やホテル、
地域の回収場所などに返却すると、
その20ペンスが戻ってくるシンプルな仕組み。
スコットランド最大の都市グラスゴーでは、
毎日3,500本ものペットボトルがポイ捨てされているという現状を、
僅かな額ではあるものの、リサイクルへの意識を高め、
ポイ捨てを思いとどまらせるのに効果が出ているという。

日本でも、エコバックの利用は浸透してきましたね。
他にもマイ箸・マイタンブラーの利用も、
ゼロ・ウェイストに繋がります。

こうした個人に委ねられた小さな取り組みから、
更に大きな輪へと広げているのが、
自治体として取り組むゼロ・ウェイスト。
徳島県の上勝町という小さな町の自治体が行っています。
大部分が標高700m 以上の山地に覆われ、
急な斜面に棚田や段々畑の風景を残す
徳島県上勝町人口約1500 人徳島県上勝町。
2003 年に自治体として日本で初めての
『ゼロ・ウェイスト宣言』を行いました。

町民は唯一のごみ収集場 ( 旧ゴミステーション ) に
自らごみを持ち込み、
できる限りの分別、資源化を行ってきました。
その結果、リサイクル率は 80%を超え、
日本国内はもちろん海外からも視察や取材が訪れるようになりました。
2020 年 4 月、
旧ゴミステーションをリニューアルした
上勝町ゼロ・ウェイストセンターがオープンしました。
町民にとっての利便性はもちろん、
町外から訪れた人たちがゼロ・ウェイストの理念を学び、
世界に広げていける施設を目指しています。
https://zwtk.jp/zwcenter/

私がこのゼロ・ウェイストの理念を実行している上勝町を知ったとき、
大きな発想の転換(ゴミをどう処理するかではなく、ゴミを自体を出さない社会を目指す)
は町民の理解を得るのにそう簡単ではなかったのでは、と感じました。
それでも長い年月を経て、
今では目指してきた状態に近づいて来て、
世の中、世界が注目する、【あるべき姿】を実現しているのは
本当に素晴らしいと感動しました。

今まで人間はより便利なものを求め、
そこに知恵やお金を集め、
文明の利器を生み出してきたのも事実です。

しかし、もう目を背けることのできない環境破壊の問題を
いかに自分事ととして取り組めるか、
大きな発想の転換を思い切って決断できるか、
考えて計画を立てる、それを実行するというフェーズに
入っていると感じます。
企業としても、上勝町の取り組みから学び、
ゼロ・ウェイストについて考えるきっかけにしていきたいですね。

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